銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
顎に手を当てながら、彼女のことを考える。

俺がセシルを救出に塔に行くまでは、彼女の命はあるだろう。

だが、サーロンは好色家。

美しいセシルを見れば、必ず欲しくなり、手を出すに違いない。

彼女を早く救い出さなければ……。

「何かあれば俺達が援護する。爆薬だって持ってきたからな」

ゴードンが俺を見てニヤリ。

「それは頼もしいな」

フッと笑みを浮かべる俺に、こいつは好戦的な目で聞いてくる。

「で、どっから侵入する?」

「もちろん、正面から堂々と」

俺の発言にギリアンはギョッとした顔をする。

「本気ですか?」

「正面から行ってバレなければ、あとはすんなり入れるさ」

「……あなたらしいですね」

ギリアンは呆れ顔。

それから、他の者を交えて作戦会議をし、準備を進めれば、もう日は西に傾いていた。
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