銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「夜になっても俺が戻らなければ、爆薬を使って攻めろ」

そう皆に命じれば、ゴードンが拳を握って俺に差し出す。

「無事に戻れよ。何かあったら、ヒューゴを呼べ」

「ああ」とゴードンの目を見て返事をすると、俺も拳を握ってゴードンのにコツンと当てた。

「ご無事で」

ギリアンもゴードンに習って拳を俺に差し出す。「心配するな。世継ぎ問題を解決するまでは死ねない」

悪戯っぽく笑って、ギリアンの拳に俺の拳をぶつけた。



「ご苦労様」

塔の門の前にいる門衛ににこやかに声をかけ、前を進む。

俺の姿を見ても、王太子とは気づいていない。

まあ帽子とカツラを被って変装しているし、よほど親しい者でなければ見破るのは難しいだろう。

サーロンだってすぐに気づくかは怪しい。
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