銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
フッと鼻で笑うネイサン。

だが、シャーロットは仏頂面で私を見るだけで無言。

鉄格子の窓に目を向けると、彼はガチャっと南京錠をかける。

ランプを床に置くと、シャーロットと共にこの場から消えた。

もう日は沈んで、空には月が輝いている。

「ここにずっとジェイは監禁されていたのね」

何年もこの牢で一日を過ごして……すごく辛かったに違いない。

しかも、彼は拷問を受けていた。

一夜にして髪の色が銀に変わったのだから、余程の苦痛を味わったのだろう。

でも、ジェイは諦めなかった。

牢の中を見ていたら、壁に書かれている赤褐色の文字が目に入った。

【必ず生きてここを出る】

力強く書かれたその字。

書いた人の決意が窺い知れる。

これは、きっとジェイが書いたものだ。

それに……この文字……血で書いたものなんじゃあ。
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