銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「本当にセシル様がご無事でよかったです」

ギリアンが、私を見て涙ぐむ。

彼も私が誘拐されたとクレアから聞いて、馬を飛ばしてここまで来てくれたのだ。

「心配かけてごめんなさい」

申し訳なく思って心からギリアンに謝れば、横にいたジェイが怖い顔で説教した。

「本当だ。ギリアンに聞いたが、護衛もつけずに部屋を出たそうじゃないか。軽率な行動は慎めよ。俺の心臓がいくつあっても足りない」

「はい、ごめんなさい」

しゅんとなって謝れば、ゴードンが空気を読んでその場を取りなす。

「まあまあ、みんな無事だったんだから、飲もうや。今夜は祝杯だ!」

それで、一気にムードが変わり、ゴードンの部下とも親しく話をして、みんなで喜びを味わった。

今まで食べた中で一番美味しく感じた食事だったかもしれない。

食事が終わると、他のみんなは後片付けを始めた。
< 244 / 263 >

この作品をシェア

pagetop