銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
酔い潰れて草の上に寝ているゴードンを、彼の部下がふたりがかりで運ぶのを見て思わず笑ってしまう。

「ゴードンを運ぶのは大変ね」

「あいつは重いからな」

フッと笑うと、ジェイを口笛を吹いてヒューゴを呼んだ。

すると、上空にいたのか、すぐにヒューゴがやってきて、ジェイの肩に止まった。

「今日は大活躍だったな」

ジェイはヒューゴを褒め、生肉を与える。

ヒューゴは大好物なのか、パクッと一気に飲み込んだ。

そして、また空高く舞い立っていく。

「あっ、ヒューゴにお礼を言いたかったのに……」

残念がる私を見て、ジェイが悪魔な笑みを浮かべた。

「お礼なら俺にどうぞ」

「助けてくれてありがとう」

素直に礼を言えば、ジェイは「そうじゃない」と首を横に振る。

「え?じゃあ、お礼ってどういうの?」

戸惑う私の顎をクイと掴み、彼は「これのこと」と言って唇を重ねてきた。
< 245 / 263 >

この作品をシェア

pagetop