銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
独り言のように呟けば、ジェイが私の手にその手を重ねてきた。

「コウノトリのご機嫌次第かな」

優しい声で言って、彼は私の顎を掴んで口付ける。

彼のキスを受けていたら、頭の中に私と彼と私達の息子の三人で月を眺めている図がパッと浮かんできた。

「いつか出来たらいいな」

彼の目を見て微笑みながら言えば、「なら、早速昨夜の続きをしようか?」と私を茶化す。

「それじゃあ、クレアのところに帰れないわ」

からかわれて怒るつもりだったのに、幸せなせいかつい顔が緩んでしまう。

「俺よりクレアを取るのか。出発まではまだ時間あるみたいだし……」

悪戯っぽく目を光らせ、彼は私をサッと抱き上げテントに運ぶ。

「お前は俺のものだってわからせてやる」

ジェイは、悪魔な顔で私に口付ける。

でも、彼はその強引な態度とは裏腹に、私を甘く愛した。
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