銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
14、胸いっぱいの愛をあなたに
「きゃあ〜、もう女神です!女神!」

私の真っ白なウェディングドレス姿を見てはしゃぐクレア。

純白の布に裾まで広がる薄桃色のベルトが目を引くこのドレスは、ギリアンが隣国から絹を取り寄せて仕立て屋に作らせたものだ。

「クレア、煩いわよ。でも、確かにセシルは綺麗だわ!」

エミリーはクレアを注意すると、ドレッサーの鏡に映る私に向かって微笑む。

海の塔から無事に生還した後、いくつか季節が過ぎた。
今日は、私とジェイの結婚式。

ジェイは結婚式にコンラッド男爵とエミリーを招待した。

私と再会出来たお礼だそうだ。

私もクレアも久々にふたりに会えて大喜び。

男爵は、領地の名産であるりんごを私がお世話になった孤児院に贈ってくれた。

男爵の気遣いがとても嬉しい。

一方、エミリーは、三日前に宮殿に着いて以来、毎日のように宮殿内にある書庫に入り浸って読書を堪能している。

彼女の恋のお相手は、当分本のようだ。
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