銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
だから、子供が本当に出来るか凄く心配だったのだ。

「元気に育ってね」

お腹の子に向かって話しかける。

大事に……大事に育てていこう。

お腹を撫でていたら、クレアとエミリーが部屋に戻って来た。

「気分はどうですか?」

クレアがにこやかに聞いてくる。

ひょっとして、もう赤ちゃんのこと知っているの?

でも、それならもっと大騒ぎしそうだ。

「少し顔色良くなったんじゃない?」

エミリーは妊娠のことには触れず、いつもの淡々とした口調で言う。

「……だいぶ良くなったわ」

当たり障りのない返事をして、ふたりに目を向ける。

ふたりとも宮廷医から聞いていないのだろうか?

でも……、聞いてなければ、私に聞いてくるはず……。
うーん、どっちなの?

そんなことをひとりで悶々と考えていたら、ノックの音がして、ジェイとギリアンが入ってきた。
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