銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
彼女の目を見て頷くと、チラリと彼を見上げた。

ジェイには私から一番に伝えたい。

彼と私の子供だもの。

でも……いつ言おう?

今歩きながら伝える話じゃない。

夜にならないとふたりでじっくり話なんて出来ないし……、その頃には宮廷医か誰かから聞かされてしまうかも……。

ああ〜、いつ伝えればいいの?

「……セシル?セシル?」

ジェイの声でハッとする。

「は、はい!」

慌てて返事をすれば、彼は心配そうな顔で私を見る。

「熱でもあるのか?」

そう言って彼は自分の額を私のにコツンと当てる。

ドキッとしながら彼の顔を見れば、真剣な顔で私を見た。

「熱はないが、大丈夫か?」

「大丈夫よ」

笑顔を張り付け、誤魔化した。

私ったら何やってんの。

彼に心配かけちゃいけない。

大事な日だ。
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