銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「……ジェイ、あの……」

彼に伝えようとしたら、ギリアンに遮られた。

「さあ、次はパレードですよ」

告白の最大のチャンスを失い、ハアーッと小さく溜め息をつく。

この調子だと、ジェイに伝えるのは夜になりそうだ。

そのままギリアンに誘導され、馬車に乗ってパレードへーー。

お祝いに駆けつけてくれた民衆が国旗を振る中を笑顔で手を振る。

「キャー、王太子様〜!」

「セシル様〜!」

沿道から歓声が上がり、「王太子様はモテモテね」とジェイをからかえば、彼はそのサファイアの瞳をキラリと光らせた。

「だが、俺が夢中なのは、この深紅の瞳の女だけ」

そう囁くように言って、彼はキスしてくる。

「キャー!」と沿道から上がる悲鳴。

キスを終わらせると、彼は王子スマイルで沿道にいる人々に手を振った。

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