銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す

他の三人の男が私に近づき、私の下着に手をかける。

頰に傷がある男は少し離れてそんな私をニタニタしながら見ていた。

こんな風に男達に襲われるなら、ひと思いに殺された方がまだマシだ。

「いやー！」

男達の顔を見るのも辛くてギュッと目をつぶり、絶叫する。

寺院内に響き渡る私の声。

このまま襲われるてしまうのか？と諦めかけたその刹那、若い男性の声が頭上からした。

「止めろ！寺院でオークションか。いいご身分だな」

ハッとして目を開けて上を見れば、マスクをつけた銀髪の男が二階の手すりを乗り越え飛び降りる。

その声、その容姿、そして、その身のこなし……。

私は……この人を知っている。

呆然と彼を見ていたら、私の周囲の男を素手で素早く倒し、身に纏っていた黒い外套で私を包んだ。

それと同時に正面の扉が開き、剣を持った近衛兵が十数人飛び込んできて、この場にいた男達を取り囲む。