銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
3、俺を救った天使 ー ジェイクside
「これは、一体どういう事かな?」

執務室に宰相のギリアンを呼んである書状を見せながら、俺は椅子に座って冷ややかに詰問した。

俺はケンジット王国国王ハワード三世の息子で王太子のジェイク。

親しい者は俺のことを『ジェイ』と呼ぶ。

八年前、父の弟であるサーロンが王位を奪い、父と俺を王都の外れにある塔に幽閉した。

だが、五年前に何とか塔を抜け出した俺は、仲間の助けもあって叔父のサーロンを倒して地下牢に閉じ込め、父を再び王位に据えた。

幽閉中、金髪だった髪は銀髪に変わり、ムチで叩かれ、爪を剥がされるなどの拷問を受けた結果、背中には無数のアザが残り、手や足の爪の色は黒に変色。

父が再び王位についたまでは良かったのだが、『お前に全部任せる』と隠遁生活を決め込み、俺が執務を代行することに……。

執務机を挟んで正面に立っているこいつは、何食わぬ顔で「ああ、それですか」とメガネのブリッジを上げた。
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