銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
ギリアンは長い漆黒の髪を後ろでひとつに束ね、琥珀色の瞳をしている。

背は俺と同じくらいで高く、肌は白くひょろっとして見えるが、武術はそこそこの腕前だ。

もちろん頭も切れ、外国とのパイプもあり、頼れる存在。

俺が側近から入手したその書状は国王の勅命となっていて、貴族の令嬢を俺の花嫁候補としてこの宮殿に呼び寄せるというもの。

何故その書状の存在を知ったかというと、今日この執務室に貴族の令嬢とその父親が立て続けに三組程現れ、俺に挨拶に来たからだ。

サーロンの悪政で悲惨な状況になった国を早く立て直そうと休みも取らずに働いてきたが、周りは早く結婚しろと俺を急かす。

執務で忙しいとずっと断ってきたのだが……。

「どうせあのお惚けタヌキにそそのかされたんだろ?」

親父ひとりではこんな真似は出来ない。

ギリアンが協力したのだ。
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