銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
毒づくように言えば、こいつは悪びれた様子も見せず澄まし顔で返した。

「仮にも国王陛下をそのように呼ぶのは如何なものかと」

『仮にも』と言っているギリアンも相当だと思うが、敢えてそのことには触れずにギロッと睨みつける。

「話を誤魔化すなよ」

「では、言わせてもらいますが、いつご結婚なさるおつもりですか?もう二十五ですよ。あなたが死んだら、誰がこの国を守るのですか?」

その琥珀色の瞳で非難するように俺を見てこいつは責め立てた。

「おい、勝手に殺すな」

じっとりとギリアンを見て突っ込む。

「普通なら王子のひとりやふたりいてもおかしくないお年です。国王がどんなに嘆いておられるか……」

ギリアンはわざとらしく額に手を当て、芝居掛かった口調で言った。

「暇人だからそれくらいしか悩むことがないんだろ?放っておけばよかったものを、お前まで結託して、こんな書状を送りつけて……。俺の仕事の邪魔だけはするなよ」
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