銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「だとすれば首謀者は、書状を送った貴族の中にいるということになるが、そう単純なことではないかもしれないな」

俺は自分の考えを口にした。

勘繰り過ぎかもしれないが、何か嫌な予感がするのだ。

「ゴードン、捕まえた令嬢の父親達は、一旦解放して監視しろ」

俺がそう命じれば、こいつはコクリと頷き、コンラッド男爵の娘に視線を向けた。

「わかった。調査は続行するが、その令嬢はどうする?」

俺も彼女に目を移す。

まだ青白いその顔。

しばらく安静にしていた方がいい。

「今は動かさない方がいいだろう。ここで寝かせる。彼女のメイドにもそう伝えてくれ」

「ああ」

ゴードンは返事をして寝室を出て行く。

ずっと身じろぎもせず彼女がベッドに横になっているので、心配になり思わずその頰に触れた。
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