銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「お前……俺を種馬と勘違いしてないか?」

目を細めて皮肉を言うと、ギリアンはしれっとした顔で返す。

「似たようなものですよ。血統が大事ですからね」

……こいつ、俺への忠誠心がまるでない。

「お前が俺をどう言う目で見ているかよーくわかった」

呆れ顔でギリアンを見れば、こいつはニッコリと笑った。

「だったら、今夜既成事実でもなんでも作って陛下を安心させて下さい」

「お前らの策略に乗る訳ないだろ。早く何とかしろ」

ギリアンをひと睨みするが、こいつはただ涼しげな顔で俺を見るだけ。

「簡単ですよ。彼女を起こして腕を抜けばいいじゃありませんか?」

俺がそう出来ないのを知ってて言っているのだから、こいつは相当意地が悪い。

「それが出来れば苦労しない」

ムッとして言い返すと、ギリアンはうっすら口角を上げた。
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