銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
この声は……ジェイ?

でも、どうして彼の腕の中にいるの?

ショックで絶句する私。

寝ぼけているのだろうか?

恐る恐る顔を上げてその声の主の顔を確認すれば、やはり彼だった。

夢じゃない。

「ジェ……‼︎」

ジェイと名前を思わず口にしそうになって、慌てて手で口を押さえる。

頭の中は大混乱。

どうしてこんな事態になっているの〜?

あの寺院で危ないところを彼に救われたのは覚えている。

でも……その後は?

どうなった?

……あれ?あれれ?

その後のことが……全然思い出せない。

激しく動揺していたら、彼が「起きたのか?」と言って私の顔を覗き込んできた。

マズイと思う間もなく、ジェイと目が合う。

すると、彼は白い歯を見せ「おはよう」と爽やかに笑った。

……初めて会った時と同じその笑顔。
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