銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
チラリと彼の手に目を向ければ、爪は黒い。
間違いない。ジェイだ。
当時を思い出して、自然と目が潤んでくる。
彼と別れた後、いろんなことがあった。
父が処刑され、母が焼身自殺して……。
……いけない。
考えるな。考えれば泣いてしまう。
自分にそう言い聞かせてギュッと目を瞑れば、ジェイは私の頰にそっと手を触れてくる。
「どうした?どこか痛いところでもあるのか?」
その心配そうな声に甘えたくなった。
あれから五年。
ずっと強くならなければと自分に言い聞かせてきた。
頼ってはいけない。
一度甘えてしまったら、もっと甘えたくなるから。
「……だ、大丈夫です」
つっかえながらもそう返事をして、顔を背けると、素早く手で涙を拭った。
「……セシル?」
躊躇うような口調で私の名を呼ぶ彼。
更なる衝撃に私は固まった。
間違いない。ジェイだ。
当時を思い出して、自然と目が潤んでくる。
彼と別れた後、いろんなことがあった。
父が処刑され、母が焼身自殺して……。
……いけない。
考えるな。考えれば泣いてしまう。
自分にそう言い聞かせてギュッと目を瞑れば、ジェイは私の頰にそっと手を触れてくる。
「どうした?どこか痛いところでもあるのか?」
その心配そうな声に甘えたくなった。
あれから五年。
ずっと強くならなければと自分に言い聞かせてきた。
頼ってはいけない。
一度甘えてしまったら、もっと甘えたくなるから。
「……だ、大丈夫です」
つっかえながらもそう返事をして、顔を背けると、素早く手で涙を拭った。
「……セシル?」
躊躇うような口調で私の名を呼ぶ彼。
更なる衝撃に私は固まった。