銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
ジェイの手が素早く伸びて私を捕まえ、その逞しい胸に閉じ込める。

「離して!」

彼の胸を叩いて暴れるが、ガシッとその腕にホールドされ逃げられない。

「無駄だ」

ニヤリと口角を上げる彼を見て、力づくでそのまま襲われるかと思った。

しかし、彼は自分で宣言したように私を誘惑する。

ジェイは私の身体をかき抱き、首筋から胸元まで甘いキスを落として官能の世界へ誘う。

「あ……ん」

自分のものとは思えない艶っぽい声を上げる私の身体を甘い痺れが襲い、何も考えられなくなった。

「もっと声を聞かせてくれ」

ジェイは私の耳元で魅惑的な声で囁き、耳朶を優しく噛む。

それから、私の唇に蕩けるようなキスを落としながら下着の肩紐を外そうとしたその時、コンコンとノックの音がした。

ハッと現実に戻る私。

私……何してるの!

それに、ど、どうしよう〜!
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