銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「そう思ってくれるのは嬉しいよ」

「陛下の楽団は素晴らしいですわ。私、小さい頃からヴァイオリンを習っているのですが、あなたも何か楽器をなさってる?ああ、でも王都から離れていると、音楽に接する機会はないかしら?」

右隣の公爵令嬢がニヤリとしながら急にそんな話題を振ってくる。

どうせ田舎貴族は楽器も出来ないと馬鹿にしているのだろう。私を名前では呼ばないし……。

「ヒラリー様、そんな聞き方失礼だわ」

私の左隣にいる令嬢が、公爵令嬢をやんわりと注意する。

それは、監禁された時一緒だった侯爵令嬢のシャーロットだった。

だが、公爵令嬢は見下すような目でシャーロットを見た。

「では、シャーロット様は何か楽器を弾かれるのですか?」

公爵令嬢の意地の悪い質問に、シャーロットは顔を青くし「そ……それは……」と狼狽える。

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