センセイ攻略~好きなんですよバカ!!~
朝から私は何やってんだか……。
今更になって後悔した。
昇降口で靴を履き換えながら、またもや私の心内劇場の幕が開いた。
石原先生は3年の国語科の先生。全くもって生活指導などではない。陸上部の顧問で、演劇部の私とは全く縁のない先生である。
そして私はそんな先生に恋をした。不意打ちが原因な筈だ、きっと。
(にしても今日も可愛いかったぁ…)
そして今となっては心の中で先生は『可愛い』のポジションにいるのである。しかしこれを理解できる友達はいない。まず言えない。言えば、私の品格が疑われるうえ、残り一年半の学校生活を泥まみれにすることになるからだ。
そして何より、自分自身でも先生の『可愛い』ポジションに納得していないのだ。
正直先生はどちらかというと格好良い方で、誰から見ても紳士的な性格なのだ。もちろんそれは私もよくわかっている。しかしそれを断固として『可愛い』に入れようとしている私がいる。
なぜなら、クソ恥ずかしいのだ。
キュンとときめく乙女心よりも、私としてはその格好良いを認めてしまう自分が史上最悪に恥ずかしい。
だからなのか、私には一度として彼氏というものができたこともないし、告白をされたこともない。人生において告白をしたのもたったの二回しかない。
(改めて思うとこんなひねくれた性格とブスさでフられたんだろうなぁ)
そう思いながら教室のドアを開ける。
開ければそこはいつもの授業中とは真逆の世界が広がっており、中では男女問わずキャッキャウフフしていた。
(へいへい、今日もリア充は元気ですねぇ)
ドアの前でくっちゃべっている吹部達を睨みならがらも、スタスタと教室に入る。
今日も、昨日と変わらない日々が始まる。