オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
突然の別れ
それはなんの前触れもなく突然だった。
「え?」
「だから…別れてほしいんだ」
大学生になってすぐに出来た彼と10年間付合ってきた。
その間、会話の中に結婚という二文字が何度も出てきて、結婚するならこの人だって思っていた。だから私は彼に対して不満や不安など何一つなかった。
だからどうしていきなり別れを告げられるのか全く理解出来なかった。
「もしかして……大きな病気にでもかかったの?」
「違う」
「じゃあ転勤とか……海外に行っちゃうとか?」
彼、智也は顔を歪めながら首を横に振った。
「好きな人が出来たんだ」
別れる原因にありがちな理由だが、智也に限ってそれはないと思い込んでいただけに開いた口が塞がらなかった。
頭の中は混乱し、落ち着こうにも落ち着けず、心臓がバクバクと早くなる。
だが、智也は話を続けた。
「香奈ちゃんの事を……好きになってしまったんだ」
「香…奈?」
智也の口から出た意外な名前に愕然とした。
なぜなら香奈は5歳下の私の妹だから。
「え?」
「だから…別れてほしいんだ」
大学生になってすぐに出来た彼と10年間付合ってきた。
その間、会話の中に結婚という二文字が何度も出てきて、結婚するならこの人だって思っていた。だから私は彼に対して不満や不安など何一つなかった。
だからどうしていきなり別れを告げられるのか全く理解出来なかった。
「もしかして……大きな病気にでもかかったの?」
「違う」
「じゃあ転勤とか……海外に行っちゃうとか?」
彼、智也は顔を歪めながら首を横に振った。
「好きな人が出来たんだ」
別れる原因にありがちな理由だが、智也に限ってそれはないと思い込んでいただけに開いた口が塞がらなかった。
頭の中は混乱し、落ち着こうにも落ち着けず、心臓がバクバクと早くなる。
だが、智也は話を続けた。
「香奈ちゃんの事を……好きになってしまったんだ」
「香…奈?」
智也の口から出た意外な名前に愕然とした。
なぜなら香奈は5歳下の私の妹だから。
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