オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
すると結城梓の表情がパアッと明るくなった。

それは一般人とは違うオーラというのだろうか、周りに花が咲き誇るような感じだ。

さすが芸能人……ってそんな呑気なことを言ってられなくなったのだ。

「あっ……浩太郎。どうだった?」

結城さんは浩太郎さんの腕にべったりとしがみつき上目遣いで見上げる。

「……いい写真が撮れたと思いますよ」

浩太郎さんは普段通りの外面の良さで笑顔を向けている。

でも腕を放してくださいとは言わないんだ。

「ふふっ。実は私も今日はいいポーズが取れたって思ってるの。その理由わかる?」

ぽってりとした唇を尖らせる結城さん。

「さあ、私にはわかりませんが」

あくまで淡々と答える浩太郎さん。

すると緒方チーフが私のシャツの袖を軽く引っ張った。

「なんか凄いよね。自分の魅力を最大限に活かす方法をちゃんと分かってるって感じ」

「……そうですね」

私が返せる最大限の言葉がこれだ。

すると結城さんは自分の胸を浩太郎さんの腕に押し付けるようにさらにくっついた。

「え〜?わかんないの?浩太郎がいるからに決まってるじゃない。……ところでこのあとの予定は?」

え?まさかこの流れでデートとか食事とかに誘うの?

浩太郎さんなんて答えるの?

そう思った時だった。

「宮園さん、今から打ち合わせするから」

緒方チーフに声をかけら私は二人のやりとりを見届けることができずに別室へと移動した。
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