オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
父の問いかけに私は小さく頷いた。

「別れを切り出したのは私からなの。それで私と別れた後に香奈と智也が知り合った。だけどいちばんの問題は智也が私の元彼だと言うことを香奈は知らないのよ。もちろん智也がこの家にちょくちょく遊びにきていたことも何も知らないの」

父も母も知らされた事実に複雑な表情を浮かべる。

「よりによってなんで智くんなのよ」

「遙も遙だ。長く付き合っていた相手をあっさりふるなんて」

父と母が困惑していた。

「ごめんなさい。でも好きになっちゃったんだもんしかたがないじゃない。それで私がお願いしたいのは近いうちに二人が挨拶に来ると思うんだけど智也とは初対面だって態度でいて欲しいの」

浩太郎さんも改めて頭を下げた。

「今回のことは僕が彼女を好きになってしまったために起こってしまったことです。深くお詫びいたします。ですが彼女の妹への思いを叶えて欲しいんです」

「お願い。父さん、母さん。香奈が真剣に結婚を考えているのを私の過去で邪魔したくないの。お願い協力して」

私も畳に頭がつくほど頭を下げた。

すると勢いよく和室の戸がバーンと開いた。

「どういうこと?」

そこにいたのは香奈と智也だった。

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