オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい

「香奈？」

驚く私をよそに二人は部屋に入った。

母たちもどうしたらいいのか困惑していた。

すると智也が深々と頭を下げた。

「この度は大変ご迷惑をおかけしました」

嫌な沈黙が流れた。

すると香奈が今にも泣きそうな顔で私を見た。いや正確に言えばすでに目は真っ赤で泣きはらした後のようだった。

「お姉ちゃん、さっき智くんから全部聞いた」

「え？」

香奈は両親の方を向くとその場に座った。

「お姉ちゃんと、浩太郎さんが言ったことは半分当たってるけど半分は嘘だから」

すると母も父もさらに困惑しだす。

なんで？せっかく二人がうまくいくようにしようとしていたのに……

でもふと思い出した。

智也が私に電話した時、いつ何時頃に話を話すのか聞いてきた後「わかった」と言った。

今思えばこの時にはすでに智也は全てを香奈に話そうと決めていたのだろう。

すると香奈は話を続けた。

「お姉ちゃんが智くんと別れた理由は私にあるの」