オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
声を震わせ、なんとか言葉にしようとするがうまく言えない。

すると浩太郎さんが私の隣に座った

でもまだ体調が完全じゃないのか傷口を庇うようだった。

「大丈夫ですか」

浩太郎さんは大きく頷いた。

「ごめんな。ずいぶん心配かけてしまったな」

「そうですよ」

「でも会いたかった」

その言葉に私の涙腺は崩壊した。

「私も……すごく会いたかった。できることならずっとずっと側にいたかった」

「俺も同じ気持ちだよ。でもこうやってまた遙の元へ戻ってこれて今はすげー幸せだ」

私は声は出さずに何度も何度も頷いた。

すると浩太郎さんの両手が私の頰に触れる。

「俺に顔を見せてくれ」

だけど涙でぐしょぐしょになった顔を見られるが恥ずかしくて私は首を横に振った。

「何だよ。お前が俺のために泣いてくれている顔を見たいんだ。ほら顔を上げて」

きっとすごい顔をしているに違いない。

涙なのか鼻水なのかもわからないぐらい酷い顔だ。

だけど悔しいかな浩太郎さんの優しい声に私はすごく弱いのだ。

浩太郎さんは親指の腹で私の涙を優しく拭った。

「おいおい何下向いてんだよ。俺はお前の泣いた顔も笑った顔も怒った顔も……どんな顔も愛おしいんだよ」

恥ずかしいけどこんな言い方されたら嬉しくなっちゃう。

私は視線を上げた。

「やっと目があった」
< 151 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop