オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
それから私は浩太郎さんからあの事件のことを詳しく聞いた。

秘書さんから聞いた通り、ハンナという女の子をかばって自分が撃たれたのだ。

「遙がお見舞いに来れない分、ハンナが毎日お見舞いに来てくれた」

そういってカバンから１枚の紙を私に差し出した。

そこには浩太郎さんの顔がクレヨンで書かれたいた。

トニーさんもしょっちゅう見舞いに来てくれたそうだけどよく喋るらしくよく看護師さんに注意されていたらしい。

すると浩太郎さんはカバンからタブレットを取り出した。

そして動画のファイルを開き私に差し出した。

そこに映っていたのは浩太郎さん、トニー夫妻、そして小さい女の子。

きっと彼女がハンナだろう。

動画は入院中の浩太郎さんの様子だった。

海外ドラマに出てくるような患者さんが着る服を着ている浩太郎さんの横でトニーさんが早口で何かをしゃべっていた。

「なんて言ってるの？」

だが浩太郎さんは言いにくそうに口を尖らせている。

「会話はいいんだよ。一応こういうところで入院してたってこと」

そしてタブレットを閉じようとした。

だけど気になる。

「ねえ、教えて？トニーさんはなんて言ってるの？」

浩太郎さんは小さく息を吐くと通訳してくれた。

「要は俺が撃たれて救急搬送されている時……遙の名前をずっとうわ言のように呼んでいたってことを説明してるんだよ」

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