オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
不謹慎かもしれないけど、私の名を呼んでくれたことがすごく嬉しかった。

「それと……早く結婚しろとも言われたよ」

正直、この事件が私の意識を大きく変えた。

いつ何がどこで起きるかわからない。

ああしておけばよかった。こうしておけばよかったと後悔だけはしたくないと……。

もちろん、結婚だってそう。

浩太郎さんのいない毎日はもう考えられない。

だけど結婚はすぐにできるものではない。

今自分ができることをすればいいのだ。

「浩太郎さん」

「何?」

「浩太郎さんが普段通りの生活ができるまで私があなたのお世話をします」

「本当か?」

「はい」

「だったら一緒に暮らすか?」

私は迷わずはいと答えた。

普通だったら嫁入り前の娘がって親は反対したと思う。

だけどあんな大きな事件が起こった後だったため親は許してくれた。

ご飯の支度や洗濯はもちろん。

掃除などなんでもこなした。

だた病院の付き添いだけは会社の目もあり秘書さんにお願いした。

そんな日が1ヶ月続き、やっと傷が完治した。

仕事の方はというといいわるいは別として浩太郎さんのことは日本中で話題になった。

その影響なのかは定かではないが、新商品が創業以来最高の売り上げとなった。

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