オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
私が課長の方へ向かうと気付いたのだろう。全身から申し訳ないというオーラを出しながら手を合わせペコペコ頭を下げた。

「おはようございます。課長~お聞きしたいことがあるんですけど……」

とびきりの作り笑顔を見せると、ビクッとした後藤課長は「せ、説明するから」と弱腰。

すると里香子が「課長~ここ使えますよ~」と笑顔でミーティングルームのドアを開けた。

後藤課長は観念したようにミーティングルームに入った。


******

「やっぱりね~」

私たちの予想は当たった。

しかしこのことを副社長に言ったところで訂正するには遅すぎた。

それに訂正しようにも新商品発売のプロモーションで忙しくそこまで手が回らないのが現状。

聞かれたら否定し、聞かれなきゃ敢えてこちらから無理に訂正するのは辞めようと言う事にした。

うちの部署の人達に関しては後藤課長が副社長のちょっとした冗談。たまたまインタビューした私の名前を出したと説明すると言った。

「本当の所はどうなの?」

後藤課長が好奇心をチラつかせる。
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