オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい


「遥が元カレのことを完全に吹っ切れるまで俺は待つ」と言ってくれたのだ。

でもいつまでもそれに甘えているわけではない。

ただ完全に吹っ切れているか?と問われると口ごもってしまう。

だけど浩太郎さんの方から今のように聞かれることはなかった。

だからさすがに我慢の限界がきたのかと思った。

だが浩太郎さんは意外な事を口にした。

「もしかしたら近いうちに本人の口から聞くかもしれないけど、先に言っておこうと思って」

一体本人というのは誰?そう思っていると浩太郎さんが真剣な眼差しで私を見た。

「遥の妹の香奈さん。彼女と遙の元カレが一緒に食事をしているところ見たんだ」

「え?」

いまいちピンと来なかったが徐々に言葉の意味が理解出来た。

「昨日、偶然見かけたんだが、二人が手を繋いで歩いていた。恐らく友達以上の関係だろうと思う」

私に気を遣って言葉を選ぶ浩太郎さん。
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