オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
「やっぱりショックか?」
心配そうに私の様子を伺う浩太郎さんに対し私は意外と普通だったことに驚いている。
「自分でも驚いてるんですが、そうなんだっていう感じです」
淡々と応える私に浩太郎さんは大きく安堵の溜息を漏らした。と同時に
「なんだよ~俺、お前が泣くんじゃないかってすごく緊張したんだけど」
「私もそう思ってました。でも不思議なことに普通です」
「そうか……それならいいが、本当に大丈夫なのか?」
きっとここまで私のことを思ってくれる浩太郎さんの存在が智也への気持ちを消化させたのだろう。
ただスッキリとはしていない。
それは私が香奈に智也のことを元カレだということを知らせていないからだ。
それに香奈は私が失恋した時、智也に対して随分怒っていた。
そのことを知ったらどう思うだろう。
私はその事を浩太郎さんに話した。