オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
智也が「帰るよ」と言って駅の方へと歩き出すと、香奈も諦めたように家の中へと入っていった。

気になった私は「あっ!コンビニに用があった」と態とらしく大きな声で言うと智也を追いかけた。

「話があるの」

私たちはファミレスへと向かった。

昔は笑顔があったはずなのに今の私たちに笑顔はない。私は深呼吸をしすると直球を投げる。

「いつから香奈をつきあってんの?」

私の問いに智也は「2週間前」と呟く様に答えた。

経緯を聞くと2人はCDショップで偶然出会ったそうだ。

意外なのは話しかけてきたのは智也ではなく香奈の方だというのだ。

香奈が智也とは初めて会った時、智也をタイプの男性だと言っていた。

しかも付き合おうと言い出したのも香奈だった。

確かに自由奔放で思い立ったら即行動に移す子だから積極的なのは頷ける。

だが香奈は何もわかっていない。

それ以上に超えなきゃならない壁があるということを。

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