オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
すると二人が顔を見合わせた。

「宮園さん、お肌がすごく綺麗じゃないですか。撮影などでご一緒するとモデルより宮園さんを使いたいっていうスタッフも多かったんですよ」

え?

そんな風に見ていたの?

「エカリーノの宣伝にもなるの。引き受けてくれるわよね」

緒方チーフの拒否権なしの鋭い視線に私は頷くしかなかった。


写真の撮影は別件で新商品のスチール撮影があり、偶然にも同じスタジオでリーチェの撮影もあることからその日に撮影する事になった。

でもまさか私が雑誌に出るとは……


仕事を終え時計を見ると19時を少し過ぎていた。

もし里奈が家にいなければ両親に里奈と智也のことを話さないと。

でも気が重いことは確かだ。

「は〜あ〜」

誰もいないエントランスに私の重い溜息が響いた。

「なんて声だしてんだよ」

誰もいないはずだと思ったら柱の陰から出てきたのは浩太郎さんだった。
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