オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
「ええ?何してるんですか?」

驚く私を腕組みしながら浩太郎さんは不機嫌そうに見ている。

「何って……そういう遙こそ何度メールを送っても返信なし。電話だってすぐに留守電になる。だーかーらここで待ってたんだけど?」

え?嘘。

私は慌ててバッグからスマートフォンを取り出した。

今日は打ち合わせで忙しかったけど、そんなのは理由にならないかも。

マナーモードになっていたからだ。

これじゃ電話もメールも気づかないわけだ。

しかも画面に出てきた電話とメールは尋常じゃない件数だった。

「ごめんなさい。マナーモードになってて……」

「そんなことは理由にならない。これが仕事だったらどうだ?謝って済む問題じゃないことは君が一番わかってるよな」

何だろういつもと違ってなんか厳しい?

でも浩太郎さんのいうことは正論だ。言い訳できない。

「すみません。以後気をつけます」

するとさっきまでの厳しい顔は何処へやら。

急に表情が柔らかくなった。

「行くぞ」

「え?行くって……どこへ?」

「いいから行くぞ」

私の質問には答えるつもりはないのか歩き出した。
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