オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
それから車に乗ること10分。

副社長ぐらいなら住んでてもおかしくない。ハイスペックな男性だったら絶対にタワマンでしょ!と創造を張り巡らせていた私の予想はいい意味で裏切られた。

5階建のそのマンションは高い塀で囲まれており、見るからにセキュリティは万全という感じだ。

しかも全面をブロンズカラーのルーバーとガラス張りの窓が高級感を引き立たせていた。

車のナンバーを読み取っているのだろうか、浩太郎さんの車が駐車場の入り口で止まると門が自動で開いた。

そして車が中に入ると再び門が閉まった。

私はそんな一連の流れを見てただただ目を丸くするばかり。

だが驚くのはまだ早い、1階エントランスにはなんとコンシュルジュがいた。

こういう高級マンションにコンシュルジュがいるということは知っていたが、実際に見るのは初めてだ。

私たちを見て「おかえりなさいませ」と言われ私一人だけがドキドキしていた。

浩太郎さんに「何硬くなってんだ?」と半笑い気味に言われる。

「浩太郎さんと違って私はこういうの慣れてないんです」

口を尖らせる私に「そのうち慣れるよ」と言ってエレベーターのボタンを押した。
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