オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
浩太郎さんはキッチンに入った。

「何か飲むか?遙の好きな酒もたくさんあるぞ」

飲みたい気持ちはあるが、初めての彼氏の家はお茶が無難だよね。

「お酒じゃなくてお茶で……」

だがスッと差し出されたのはお茶ではなくビールだった。

「あの……私はお茶を––」

「俺の前でよっぱらって絡んだ奴がよくいうよ。1本ぐらい問題ないだろ?」

痛いところ突かれた。

「じゃあ……いただきます」

浩太郎さんからビールを受け取った。

すると浩太郎さんはピタッとくっつく様に私の隣に座った。

「なんか近くないですか?」

「そのためにここにきたんだろ?」

え?密着したくて?

でも何もしないって言ったのに……どうしよう緊張してきた。

すると隣でクスクスと浩太郎さんが笑い出した。

「お前って本当に面白いな〜。冗談だよ。でも男と付き合ったことがないわけじゃないんだろ?そんなに緊張するなよ」

確かに彼氏いましたよ。

だけど、現実的な彼氏と非現実的な彼氏ではやっぱり違う。

「尽力します」

今私が言えるのはこれだけだった。
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