魂が叫んでいるのに
□運命の日
この日まで私はどうこの日を過ごすか? ずっと考えていた。
最大のチャンス!! いや運命の日と言っていいかもしれない。
何度考えても不思議なめぐり合わせ。ドッキリ? それとも夢のなか?
13歳で感じたあの運命はまだ続いていた。
これって絶対神様が「なんとかしなさい!!」って言ってる。
しかし、どうすればいいのか? 何を求めているのか? わからない。
頭で何度もシュミレーションをした。
「今、私はCAというけっこう男子好みの仕事をしている。自信をもて!!」
そう言い聞かせながら・・・。

結婚式当日は2次会ということもあり、夕方からの会だった。
私はめーいっぱいのお洒落をして、会場に行った。

どうしよう・・・・
ドキドキが止まらない。
会場に着くと、A中女子バスケ部の懐かしい顔がたくさんいた。
東高に行ったナオコもいた。
そして、健一君を探した。

実は中学3年生以来、顔を見ていない。 22歳の彼の姿が分からない。
面影だけでも残っているかも・・・ そう思いながらキョロキョロと姿を探した。

その時、「よう!!」とナオコに話かける 1人の男。
粕谷君だった。

ナオコ 「なんで あんたがいるのよ?」
そりゃそうだ。 新郎の相良君とは中学も高校も違うはず。何で?
「バスケつながり」粕谷君がニヤリと笑った。

(ほほう。そういうことか!!)

ナオコ「ちょっと、的場君来てる? どの子?」

粕谷君「あぁー、あそこ!!」
指さす方へ 目をやると、沢山の人に囲まれてる 健一君がそこにいた。

(あー、あの人が現在の健一君・・・・・・・・・・)
その場所はキラキラと輝いていた。
しかし、初めて会ったような 不思議な感覚は 襲ってこなかった。

粕谷君「おーい、的場! ちょっとこっち来てぇー」

(えつ、えつ! 呼ばないでよ。 心の準備が・・・・)
キラキラと輝く人の輪から 健一君が歩いて向かってきた。

(うそ!うそ! どうしよう・・・・)

私たちの輪に入って来た。
13歳のあの日から こんなに近くで見るのは初めてだ。
あんなに私の心を揺らした人が目の前にいる!!

(神様! 私はどうしたらいいの?)

粕谷君「こいつ、 今モデルやってるんだって。 コカコーラのCMとかにも出たんだよな?」
的場君「 あぁー。」

(モデル?? す、すごい。 そりゃカッコいいはずだわ。)

ナオコ「えー、モデル? すごいねぇ。 私たちA中の女子バスケ部で 中学の時から知ってるよ。」
的場君「へぇー、そうなんだ。」

ナオコが何か話せ!と言わんばかりに腕をつつく。
無理だ。 話せるわけがない。 平常心になれるわけがない。
(気づいて!! 私はここにいるよ。)と叫んでいた。魂の叫びだ。
しかし、私はただのお地蔵さんだった。
それ以上何を話していたか覚えていない。健一君はまたどこかに呼ばれて行ってしまった。

しばらくして、新婦になったカンナが近づいてきた。
カンナ「文乃、どう? 的場君と話せた?」

私「無理だったよ。 だってあの的場君が目の前にいるんだもん。 緊張するよぉ」

カンナ「もう何してるのよ!! せっかくのチャンスなのに。」

カンナ、ありがとう・・・・。 まさかのプレゼントだよ。

< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop