魂が叫んでいるのに
◼夢の不思議

「背番号 6 的場健一君かぁ。」
T中学に先輩がいなかったのか?あるいは1年生が上手かったのか、1年時で6番をつけていた。
このT中学はとても強かった。我がA中バスケ部も決して弱くはなかったが、T中が同じ区内にいた為に都大会に出ることが出来なかった。
しかし、互角のレベルであった為に対戦も多く、男子バスケ部同志 仲が良かった。

‥‥‥‥ということは?

そう、情報が入るのである!(ニヤリ)

初めて会った衝撃から私の頭の中は的場健一でいっぱいになった。
そしてT中学のバスケ部は強くてイケメンが多い‥‥‥‥。女子バスケ部の同期達も
「5番の子がいいよね?」
「いや、やっぱりキャプテンでしょ!」
「私はJ中の人がいい!」
とそんな話で持ちきりだった。
中学生の女子はやっぱりキラキラ恋愛の話でしょ。
私はチームメイトの友人達に
「ヤバイ、あの6番の子すごいカッコいい。 なんか運命感じるんだけど‥‥」と話した。
友人達は「ハイハイ! 良かったね」
とあしらっていたが、私の本気モードは
わかっていたようだ。

とはいえ、相手は他校の選手。
同じ区内とはいえ、偶然町で会うような距離の学校でもない。
会えるのは年に数回‥‥。
幸いにも我がA中は常に大会の会場校となっていた為、女子の試合がなくても、1回戦で負けようとも、彼がA中に来てくれる事が多かった。

今思うと不思議なのだが、彼に会える前には必ず夢を見ていた。
いつ、会えるのかなんて全くわからない。
どの中学がくるなんて事も聞かされているわけではない。なので、事前に聞いていて会える楽しみで夢を見ているわけではないはず。
夢を見たら「近いうちに会えるな!」って普通に思っていた。そしてそれは現実になるのである。
その時の私は
(私にはそんな能力があるんだ‥‥)
と喜んでいたが、その後40になる今までその能力が出る事はなかった。
ガッカリ。




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