涙のない少年
第3章
いつもの場所…というのは
公園内の小さな池に面した
1つの小さなベンチ。
親子の野良猫は
このベンチの下に住んでいる。
ベンチの下にはダンボール箱があって、猫たちはこの中に入っていたから
やっぱり捨て猫なんだと思う。
猫がいるから、他の人はこのベンチには滅多に座らないのに
その日は、女の子が1人ちょこんと座って
猫たちにエサをやっていた。
ニコニコと、なにやら話しかけながら。
傾きかけた夕日に頬を赤く染めながら。