嘘つきな君


「好き」


擦れてしまった声が、静かに響く。

真っ暗な世界に縋る場所もなく、落ちる。

溢れた気持ちが、落ちる。


突然の私の告白に、彼の瞳が僅かに見開かれた。

それでも、構わずに口を開く。


「好きなんです……常務」


一度言葉が溢れてしまったら、もう止まらない。

次から次へと、心に溜まった想いが零れ落ちていく。


彼が、欲しくて欲しくて堪らない。

私の気持ちを知ってほしい。

側にいないと、寂しくて凍えてしまう。

体が心が、彼を求めている。


何も言わずに私の言葉を受け取る彼を見つめる。

暗闇の中に浮かび上がる彼は、やっぱり素敵で。

こんな時でも、もっと私を夢中にさせる。


言うつもりじゃなかった。

だけど、もう抑えきれない。

誤魔化しきれない。


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