嘘つきな君
涙が止めどなく流れる。

意思とは関係なく、ポロポロと。


だって、その言葉の裏にある気持ちに気づいたから。

彼の本当の気持ちに気づいたから。


その瞬間、好きが溢れる。

泉の様に、枯れる事なく心から溢れていく。

受け取ってもらえると思った瞬間、止めどなく。

涙と一緒に溢れていく。


何も言わずに、ただ見つめ合う私達。

ギュッと私の手を握る彼の手が熱い。

息をする事も忘れた私は、まるで魔法にかかった様に動けずに、その熱を感じる。

そして。


「好きなんだ」


告げられた言葉に、膝から崩れ落ちた。


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