嘘つきな君

息も出来ないキスの波。

そのまま食べられてしまいそうだと思って、縋る様に彼の背に腕を回した。

すると、更に激しくなるキスの嵐。

小さな悲鳴を上げた私に反応して、水音を立てて唇が離れた。


淡い照明に照らされた彼の黒目がちな瞳が、更に色気を増す。

潤った唇が、熱い息を吐き出す度に理性が飛ぶ。

ぼーっとそんな彼の姿を見つめる私を見て、ふっと小さく息の下で笑った彼。

そして、ゆっくりと私の目の縁を優しく指でなぞった。


「お前は俺のものだ」


熱い息の下で、麻薬の様な言葉を囁く。

全身が痺れて、体の力が抜ける。


あぁ。

もう愛おしくて堪らない。


「傍に……いさせて」


あなたの傍に。

この先、なにがあっても――傍に。
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