嘘つきな君
「目開けろ」
「んっ……もぅ無理っ……」
「まだだ」
「んっ……」
重なり合う肌が熱い。
交わる唇が熱い。
一つに溶けてなくなってしまいそうな中。
ただただ、彼の広い背中に腕を回した。
「好きだ」
溢れた熱い言葉が私の胸を焦がす。
囁かれる言葉が、私の想いをより濃く色づかせる。
もっともっと、好きになる。
「菜緒」
優しく私の名前を呼んで、黒目がちな瞳を愛しげに細めた彼。
それだけの事で、幸せだと思う。
きっとこの先、この声を聞く為なら、この笑顔を見る為なら。
私はどんな棘の道も喜んで進んでいこう。
例えボロボロになっても。
涙が枯れる程泣こうとも。
私はあなたの側で、笑っていよう。
「大……輔」
きっと私は。
今日の日を、ずっと忘れない。