嘘つきな君
チンッ!


鏡の中に映る完成した自分の顔に一度微笑みかけた瞬間、キッチンの方でトースターが終わりを告げた。

どんなに急いでいても、朝ご飯を食べないと頭が機能しない私。

急いでキッチンに駆け寄って、焼きたてのパンを口に押し込んだ。


「あと40分っ!!――って携帯どこっ!!」


こういう時に限って探し物。

腹ただしさを感じながら、辺りをキョロキョロと見渡していると。


TRRRR――・・・


どこからともなく聞こえだした着信音。

ありがたい!!  と思いながら、音のする方に駆けよって携帯を発掘する。

そして、ディスプレイに映し出された名前を確認して、通話ボタンを押した。


「サンキュー! 美鈴!」

『え? 何が?』


開口早々放った私の言葉に、鋭いツッコミを入れる同期の美鈴。

携帯を耳に押し当てながら、事の流れを簡単に説明すると、あぁ。と納得してくれた。


「どしたの?  今日休むの?  風邪?」

『違うよ』

「そっか。あ、ごめん! 今遅刻ギリギリなの!  話は後で職場で聞くから!」


戸締りを確認して、急いで玄関に向かう。

今は1分1秒も無駄にはできない。

それでも。

次に落ちた美鈴の言葉に、思わず足を止めた。
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