嘘つきな君

「もしかして、一昨日インサイダー取引で倒産したあの会社?」

「ご名答! ビックリだよな~朝起きたら職失ってるんだぜ?」

「先輩……私泣きますよ?」

「菜緒。今日は無理でも笑え。笑う門には福来るだ」


訳の分からない事を口走る先輩に同調する様に、前に座る仁美がシャンパン片手に頷いている。

そんな中、恐る恐る神谷さんの方に視線を向ける。

すると。


「へ~。ご愁傷様」


運ばれてきたワインを口に運びながら、どこか皮肉っぽい口調と小馬鹿にした様な態度でニヤリと笑っていた。

その姿が妙に腹ただしくて、思いっきり睨みつけてやる。


思った通りだ!! 

初めから、こんな悪魔みたいな男に慰めの言葉を貰えるとは思っていなかったけど、やっぱり腹立つ!!

だいたい、なんで初対面の人に、そんな憐れむ様な視線を送られなきゃならないのよっ!

それに、もっと気の利いたセリフはないの!?

ちょっとカッコイイからって、何でも許されると思ったら大間違いなんだからっ!!


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