嘘つきな君
「――んっ……あぁっ」
ギシギシとスプリングが鳴る中、悲鳴の様な声が漏れる。
弓の様にしなる体が、自分のものじゃないみたいだ。
ふと足元に目をやれば、脱ぎ散らかしたドレスや靴が散乱していた。
明かりも消さずに、部屋に入るなり唇を重ねた私達。
待ちきれないと言わんばかりに、片時も唇を離さずに。
どんどんドレスが脱がされ、あっという間にベットに倒れ込んだ。
「やぁ……んっ」
「菜緒」
「だめ……もぅ……あぁっ」
何度昇りつめても、彼は私を離してはくれない。
私の体の全てを知り尽くした彼は、ぐったりする私を何度も蘇らせる。
汗が滲む中、声が擦れる中、体が痙攣する中、甘い声が耳に届く。
「まだだ。もっと、俺を感じろ」
「あぁっ!!」
獣の様に求め合う。
まるで、溶けて一つになる事を望む様に――…。