嘘つきな君

この年になって、無意識のうちにしてしまう事。

それは、指輪チェック。


だって、26歳にもなれば次付き合う人と結婚の事も考えるわけで。

もう、女としてのタイムリミットが近づいているわけで。

でも一年やそこら付き合っただけで、結婚は嫌なわけで。

だったら、詮索期間も含めて後2年は欲しいわけで。

バタバタと結婚ラッシュの中で、取り残された様な気がして焦っているわけで……。


とにかく、少しの時間も無駄にはできない年頃なんだ。

――でも、コイツは論外。


いつもの通り、指輪確認してしまった自分を殴ってやりたい。

こんな思いやりのない男に誰が惚れるかっ!!


「何?」


そんな私の視線と心の声に気付いたのか、前を向いたまま視線だけを私の方に向けた神谷さん。

その黒目がちな大きな瞳が、少しだけ細められて私を映す。


「別に」

「嘘つけ。今見てただろ」

「自意識過剰なんじゃないですか?」

「だから、悪かったって。そんなに噛みつくなよ」


不機嫌を全面に出した私の態度を見て、不敵に笑った神谷さん。

その表情に、無意識に心臓がトクンと跳ねる。
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