嘘つきな君

無理に笑ってみせた私を見て、今にも泣き出しそうに彼の瞳が歪む。

そして、それと同時に強く抱きしめられた。

息も出来ない程、強く。


「悪い……」


擦れる声で小さくそう呟いた彼の声が耳に届く。

折れてしまうのではないかと思う程、強く私を抱きしめたまま。


それでも、その腕の強さが彼の私への想いを表した様で嬉しくなる。

それと同時に、悲しくなる


謝らないで。

これは初めから決まっていた事だから。


好きではなく、愛してしまった私が悪い。

運命に逆らおうとする、私が悪いの。

ワガママな、私が悪いの。


「……抱いて」

「――」

「何も考えられないくらい、メチャクチャにして」


あなたを私の体に刻み込むの。

忘れない様に。

寂しくない様に。

1人でも、生きていける様に――。




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