嘘つきな君



「――ゃあっ……あぁっん」


唇から絶えず漏れる声を押さえる事ができない。

与えられる快感が、私をただの獣にする。


絶える事のない快楽の波に飲み込まれて、我を忘れる。

そんな中、熱い吐息を耳元で感じて、ゆっくりと瞳を開ける。

すると、同じように獣のような瞳の彼と目が合った。


「もっと……」

「――」

「お願い。もっと、メチャクチャにして」


何も考えられないくらい、私を壊して。

あなただけを、感じていさせて。


「あぁっ――っ」


奥歯を噛みしめた彼の瞳が歪む。

絶え間なく揺れる世界で、あなたを感じる。


「常務っ」


いっそのこと、壊れてくれればいいのに。

悲しみも辛さも喜びも。

何も感じない心になればいいのに。

そうしたら、もうこれ以上何も考えなくて済むのに。


「菜緒っ」


世界はあなたと私だけ。

この小さなベットの上だけが、私とあなたの世界。


「もう……ダメッーーあぁっ」


どちらの肌か分からない程、溶け合う世界。

刻み込む様に、溶けて一つになる様に。

ただ、求め合う。



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