嘘つきな君
訝し気に首を傾げる私を見て、もう一度ふっと小さく笑った神谷さん。
そして、意地悪そうに唇の片端を上げて、口を開いた。
「さぁ? どうしてでしょう」
「はい?」
「そんな事、お前が探らなくていい」
「それは、そうですけど……」
その言葉に、声が詰まる。
確かに、そうだと思ったから。
私みたいな平社員が、口を出す問題じゃない。
それに、これはホールディングスの問題だ。
私がつっこむ様な話じゃない。
私はただ、自分の仕事をしていればいいんだ。
だけど。
相手にされなかった事が、なんだか少し寂しくも感じた。
どこか突き放されたように感じて。
自分は壁を作ったクセに、相手にそうされるとモヤモヤする。
猛烈に自分勝手な考えだけど。
そんな考えを悟られまいと、プイッと視線をずらして息を吐く。
なんとも思っていないというように。